言葉の羅針盤

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人生の海というものは、確かに迷い多きものです。時にひとは進むべき道を見失い、途方に暮れてしまったり、こう進むべきではないのだと、心の奥底では感じていながらも、あえて暗礁に乗り上げる方角へと、小舟の舵を切っていることもあるのだと思う。

そうしたなかで若松さんは、

「言葉こそが、もっとも確かに私たち個々の生の行方を指し示してくれるのではないだろうか。」

と、問いかける。

ここで言う言葉とは、なにも書き表された文字としての言語に限られたものではないのでしょう。

われわれの内なる言葉としての「内語」や、「生きられる物語としてのことば」、はては、言語を超えた無数のことばたちのことを、指すのだろうと思えます。

あるひとにとって、それは書物のなかに書き表されたものたちから到来するものであるかもしれないし、またあるひとにとってそれは、具体的に生身の人間としてふれうる現実の海の波のことばとして、無声の声を聴くところに、立ち現れるものかもしれない。

「わたしはいま、この人生のうちの、どこにいるのか。」

そう問わずにはいられない迷いのとき、確かにひとは、なんらかのことばを探しているように思う。

そのことばはしかし、おそらくは、そこここに散りばめられてある、遍在する、数多のことばにふれるところから、うまれ来たるものではないだろうか、と、いまこれを書きながら、思ったりもしました。

内と外、と、文字の上でそのふたつを対立せしめると、確かにそれらは互いに分かたられてあるようにも思えますが、同時に実は、それらの境界はないものであったり、内の内側に外が、外の内側には内が、と、そんなふうに、単にふたつに分けるだけではすまないふうなことにも気づきます。

内を観ることと、外を観ること、
内を観ながら、外をも観ること、
外を観ることで、内を観ること、
内にある、外を観ること、
外にある、内を観ること、
あらゆるの外と内の、まじわいの
あわいを、ながめること

そういうことが必要な、
時というものが、あるのだと
思います。

疲れたら、
無理をせず、
そっとやすんで、
空をながめて、
夜には、
真っ黒な空いっぱいの、
星をながめて、

いろいろの世界のあることを
観ることが、よいかもしれない

そしてまた
いろいろの世界のなかにある
いろいろのことばたちに
耳をかたむけてみると、
いいかもしれない

そんなことを、思います。

若松英輔著『言葉の羅針盤』
単行本: 158ページ
出版社: 亜紀書房 (2017/8/11)
サイズ: 17.8 x 11.8 x 1.8 cm

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