〈新装版入荷〉『文化のなかの野性―芸術人類学講義』中島 智【店主の好きな本1000冊売ろうキャンペーン・百瀬雄太編】

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新装版『文化のなかの野性 芸術人類学講義』入荷しました!

年明けからはじめたこのキャンペーン、ほんとうに多くの方にご賛同いただいて初版版は現在までに46冊買っていただきました。

そうしたなかで版元である現代思潮新社さまが19年前に刊行されたこの本の増刷をするという英断をしてくださり、こうして新たな装いで『文化のなかの野性』は再び生を受ける運びとなりました。

こうしたことが実現されたのも、まずもって買ってくださったお客さま方のおかげです。ほんとうにありがとうございます。

新装版には新たに「謝辞」と題された前書きが付与されました。

このなかに、なんと、われわれ庭文庫の名前が…!

たいへんありがたく、うれしく、恥ずかしく、やっぱりありがたく、この文を受け取らせていただきました。これからの本屋の未来にむけての、ひとつのちいさな灯となればさいわいです。

中島さん、ありがとうございます。


30代前半、癌の診断から余命五年と宣告されたことから、残りの人生を使ってはじめられた芸術人類学講義。

彼はいつか、遺書のようなものとしてこの本を書いたと語っておられたと記憶しています。

西暦2000年、この本が刊行されてからはや19年。いまもなお彼がこの世に生きておられることに僕は心の底から感謝と歓喜を感じます。ほんとうに、よかった。

これからも、どうか長生きしてほしい、と心から思います。

この本も、新たな装いをして、これから多くのひとたちの手に渡っていってほしい。




【店主の好きな本1000冊売ろうキャンペーン はじめます】

この本についてなにか一言だけを書くということは、ぼくにはあまりにも難しいことに思えて尻ごみする。

それくらいにこの本はぼくという人間の今に深く染みわたり相対化しきることのできないほどに共にあるものとして生きているのだと思う。

中島智 『文化のなかの野性 《芸術人類学講義》』

古本屋としてはじまった庭文庫、店を続けていくなかで次第しだいに「もっとこんな本を置けたらいいな」とか「この本があればあの人にぜひとも勧めたい」とか、そういうことを思う機会が増えていき、次第にそうした気持ちを抑えることができなくなり、新たにたくさんの新刊本を仕入れていくことに決めた。

その日その場所でしか出逢うことのできない本との出会いは古本屋の醍醐味だけれど、

その店を続けている店主が全身全霊をもってして選びぬいたこれぞという本を売ることが新刊のセレクト書店の醍醐味であり、そうした「あの人が選んだもの、わたしだけに勧めてくれたものならばぜひ読んでみたい」という、偶然性よりも一種の必然性を根底に据えてあるような本と人との交わり、その交差点のようなものをもっと深くていねいに作っていきたいと、そう思ったのです。

そうしてこの本も、そのなかに加えることができた。

これまで書店との直接取引を行ったことがなかったという版元の現代思潮新社さまにおねがいのメールと電話をして、「御社の刊行されておられる『文化のなかの野性』という大変すばらしい傑作をぜひうちで売らせてほしい」という旨を暑苦しく伝えたところ、

現代思潮寺本さまが快く快諾してくださり、どどんと初回入荷30冊をお引き受けしてくださいました。

みきちゃんとはなしをして、

「どうせ新刊を取り扱うなら、好きな本、うちの店だけで1000冊とか売ってさ、重版とかさせちゃったらたのしくない?」

とかなんとか半分冗談のようにはなしていたらほんとにそれやろうとなり、

「店主の好きな本1000冊売ろうキャンペーン」をはじめることになりました。

ぼくはこの『文化のなかの野性』を1000冊売ることに決めました。

決めた理由は、ぼくがこの本にからだの奥底から感動し、この本をはじめて読み終えたとき、打ち震える感動のあまり涙を流したため。

この本がこの地上に存在していることに心の奥底から感謝を感じたため。

にもかかわらずこの本が世間的にはあまりにも評価されておらず、一部の熱狂的な読者をのぞき手に取られることなくすでに刊行から18年の時がすぎており、

誰かが真剣に売ることなくしてはこの本も他の多くの本たちと同様に歴史の影のなかへと静かに消えていってしまうかもしれない、それはとてもさびしいことだとぼくが感じたため。

時代の流れに先駆け、あまりの先見の明と達見と、すばらしい言語化能力のあまりにかえって読書になれていない人には少々難しく感じられてしまう文字づかいや表現と、しかしなにもかも簡単に語りきることなどできはしないのだと、世界の多層性、多重性へのまなざしを簡単に断ち切ってしまうこともせず、頑なに、言語化しえぬものを言語化しようとしたパロールの痕跡…


「私は、意図的な「作品」制作をやめることで、人間の内なる自然(野性)から生じる「リアル」を受け入れる作法として、不可避に、〈絶対性〉や〈忘却〉や〈陶酔〉に心身を委ねることになった経緯や、その効果についてあれこれと述べて参りましたが、それは私自身に常に次なるステージが胎動し続けていることを教えるものでした。アーティストにとって、その歩みを妨げるような言葉の固定力で「悟る」ことほど、愚かしいことはありません。中途半端な専門家も、中途半端な素人も、この過ちを犯しやすいものです。

言ってみれば、私が皆さんにお伝えしたいのは、常に「本物の素人」であり続けてもらいたいということだけなのです。」中島智

本書390頁、第七講 「現代アート」の民俗(二)から、この本の締めの言葉となるものを引用しました。

画家としての修行を積みながら次第しだいに汎世界的に存在するシャーマニズムの世界へと導かれていった著者は本書で、フィールドワークに赴いたいくつかの国や地域、民俗とのまじわりのなかで自身の体験してきたことと己の制作体験とのまじわりのなかに、アートとシャーマニズムに通底する、共通するものを数多見出していきます。

アフリカ、スペイン、中国、沖縄、日本…
各講義のなかで語られる言葉は相互に連関しあい、全体としてひとつの大きな世界を語ろうとするモンタージュ技法によって、彼の生々しい直観をできうるかぎり損なうことなく言語化されようとしています。

ここで語られている「アート」をめぐる言説は、他のアート関連の本に書かれた内容とは大きくかけはなれたものであるように感じられる方もおられると思う。

けれどもだからこそ、そのわからなさにこそ、向き合う価値があるということを前提にして、とにもかくにも読んでみてほしい。

実制作者はもちろんのこと、アートなんてわたしには関係ないよというひとにも、この世界にはこんな世界を生きる人々がいるのだ、こんな世界があるのだということを、まざまざと実感させてくれる読書となると期待します。

書き出すと、ああ、きりがない。いまもまだぜんぜん書けていないのですが、とにかく!この本買ってください。うちで1000冊、いや、2000冊でも3000冊でも売ったるわい!と意気込んでいるももせに騙されたと思って、あるいはいっちょ乗ったるわい!てなかんじで、

どんなかんじで買ってもらっても、けっして損はしない内容になっています。通販も受付ます。

読んでいてわからないところがあったらももせに聞いてください。解説します。できる範囲で。

あるいは著者の中島さんに質問します。友人なので。

まあとにかく、買って読んでみてください!そんで語らいあいましょう。

よろしくどうぞ。

『文化のなかの野性―芸術人類学講義』中島 智 (著)
単行本: 408ページ
出版社: 現代思潮社 (2000/4/1)
梱包サイズ: 19 x 13.8 x 2.8 cm

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